メガバンクで営業、ネット系事業会社で金融事業開発、外資系コンサルで金融機関コンサル、三社三様で金融に関わり続けている金融マン、Keijiです。
コーチって誰でもいいのだろうか?どんな人を選ぶべきとかあるの?
選ぶ時の注意点があったら教えてほしい。
もしコーチングとは何?という状態でしたら、こちらの記事を先に読んでいただくことをオススメします。

世の中のコーチングサービスをざっと見ていただくと分かるのですが、コーチングは決して安い買い物ではありません。それだけに、「この対価を払うだけの価値を得られるのだろうか?」と不安になる気持ちもとても良く分かります。僕が初めてコーチングを受ける際も同じ思いでした。
ここでは、コーチングを受けるかどうか考えている方に抜けて以下の点を解説していきます。
- コーチングに向いているテーマとは?
→ どんな悩みや課題がコーチングに適しているのかを解説します。 - コーチングを受けるべきタイミングとは?
→ 「今、本当に受けるべきなのか?」迷っているときの判断基準を紹介します。 - 自分に合うコーチの選び方とは?
→ 失敗しないコーチ選びのために、押さえておきたいポイントをまとめます。 - コーチングを受けるときの注意点とは?
→ 受ける側として知っておきたい心構えや、ありがちな落とし穴を紹介します。
コーチングは、魔法のようにすべてを解決してくれるものではありません。ですが、正しくテーマを設定し、自分に合ったコーチと出会えれば、自分ひとりでは辿り着けなかった答えに近づく、大きな力になり得ます。
この記事が、あなたのコーチング選びの参考になればうれしいです。
コーチングに向いているテーマとは?
コーチングを受けるにあたって、まず考えたいのは「何をテーマにするか」です。テーマとはコーチングセッションの中で話をする内容のことで、「自分が今感じている課題」と言い換えることもできます。テーマ設定は、コーチングの成果を大きく左右する非常に重要なポイントです。
とはいえ、「テーマを決めるなんて難しそう…」と感じるかもしれません。そこでまず、コーチングに向いているテーマの特徴を紹介し、その後で具体例を交えながら、イメージを掴んでいきましょう。
コーチングに向いているテーマとは「抽象度」と「コントロール性」で整理できる!
結論から言うと、コーチングに向いているテーマには2つの特徴があります。
①ある程度「抽象度」が高いこと
②自分自身で「コントロールできる領域」であること
これらを視覚化するとこんな感じで、それぞれ詳しく見ていきます。

① 抽象度が高いテーマ
コーチングは「答えを教えてもらう」場ではありません。自分の中にある答えを対話を通じて引き出していくプロセスです。
そのため、
「自分はこれからどんな方向に進みたいのか」
「どんな働き方が自分にとって幸せなのか」
といった、ある程度抽象的なテーマで大きな力を発揮します。抽象度の高いテーマは、自分の頭だけでの言語化や整理が難しく、コーチとの対話を通じて自分の考えを深めていくことが有効だからです。
逆に、
「このタスクを整理したい」
「やるべき仕事がたくさんある中で、優先順位をつけたい」
といった具体的なテーマをコーチングの題材としても問題はないのですが、コーチングの効果は半減します。具体的な課題の場合、取るべき選択肢(正解)がある程度決まっていて、対話相手がコーチである必要性があまりないからです。
② 自分でコントロールできるテーマ
もう一つの大事なポイントは、自分でコントロールできるテーマであること、言い換えるとは課題解決の主導権が自分にあることです。
コーチングは、自分自身の行動や考え方を変えることで目標達成や課題解決を目指すアプローチです。
「他人を変えたい」や「社会問題を解決したい」等といった、自分では直接コントロールできないことをテーマにしてしまうと、十分なコーチングの効果が得られません。
そんなテーマを題材にした時、コーチングセッションの中でコーチからこんな質問をされるはずです。
- 「〇〇さんとの関係性を良くするために、あなたができる行動は何ですか?」
- 「社会問題を解決していくために、あなたはどんなマインドセットになれば良いと思いますか?」
他人や環境の変化を期待するのではなく、自分の行動や意識など、コントロールできる領域に焦点を当てることで「自分自身の」課題に目線を変えるのです。他責から自責へ意識を変えると言ったりもします。
この点はほとんどのコーチが認識していて、セッションの中で話題が他責にズレそうなときは自責に戻すような質問をコーチからするので、あまり神経質になり過ぎる必要はありません。
コーチングに向いている具体的なテーマ例
抽象度とコントロール性を踏まえた上で、ここからは、実際にコーチングに向いているテーマの具体例を紹介します。
- キャリアに関するテーマ
- 将来どんな仕事をしたいか明確にしたい
- 自分に合ったキャリアパスを描きたい
- 転職すべきか、今の会社に残るべきか迷っている
- 働き方に関するテーマ
- ワークライフバランスをどう整えるか考えたい
- 副業やフリーランスなど多様な働き方を検討したい
- 働きながら自己成長する方法を探したい
- 自己理解に関するテーマ
- 自分の強み・弱みを深く理解したい
- 自分が本当に大切にしたい価値観を明らかにしたい
- 「なぜかモヤモヤしている理由」を言葉にしたい
- リーダーシップに関するテーマ
- チームをまとめるリーダーシップを身につけたい
- 部下育成に悩んでいるので改善したい
- マネジメントとプレイヤー業務のバランスを取りたい
ここで挙げたものはあくまでも一例で、テーマはこの中でなければいけないわけでは全くありません。極端な話、「どんなテーマについて話すか明確に決まっていないけれど漠然とした不安がある」といった状態で、コーチと話をしながら明確にしていく、という方針でもOKだと思っています。
コーチングに向いていない / 扱えないテーマとは?
一方で、コーチングが向いていなかったり、扱えなかったりするケースもあります。一例としては以下のようなテーマです。
- 強い抑うつ症状がある
- 明確なトラウマに苦しんでいる
- 日常生活に支障が出るほどの不安感を抱えている
総称すると深刻なメンタル不調や過去のトラウマに関するもので、これらのテーマの場合はコーチングよりもカウンセリングや医療機関でのサポートが必要です。コーチングは「精神的な健常者に対して目標達成や課題解決を促すもの」であって、深刻な心の不調の場合、まずは精神不調を治すことが優先されるべきだからです。
コーチングを受けるべきタイミング
コーチングに興味はあっても、「今受けるべきなのか?」「もう少し待ったほうがいいのか?」と迷うことはよくあります。結論から言えば、コーチングに「絶対にこのタイミング」という正解はありません。
とはいえ、いくつか「コーチングに適したサイン」があります。ここでは、コーチングを受け始めるのにふさわしいタイミングの例を2つ紹介します。
自力で考えても堂々巡りしているとき
まず1つ目が、自分ひとりで考えていても堂々巡りしてしまうときです。
こんな経験はないでしょうか?
- 考えれば考えるほど、選択肢が増えて混乱する
- 「これでいいのかな」と自信が持てない
- 何度考えても、結局同じ場所に戻ってしまう
この状態は、一見「まだ考えが足りない」ように感じるかもしれませんが、
実は自分一人での思考の限界に達しているサインでもあります。
コーチとの対話を通じて、
- 新しい視点を得る
- 無意識に避けていた本音に気づく
- 優先順位を明確にする
といったプロセスを踏むことで、ぐるぐるとした堂々巡りから抜け出し、次の一歩を踏み出す勇気が湧いてくるはずです。
変化を起こしたいという意欲が出てきたとき
続いて2つ目が、自分を変えたい、何かを変えたいという意欲が芽生えたときも、コーチングを受ける絶好のタイミングです。
コーチングは、「気づき」を得るだけでなく、そこから「行動」を起こして変化を生み出していくプロセスです。
そのため、
- 「もっと成長したい」
- 「新しい環境に飛び込みたい」
- 「今の自分を変えたい」
といった前向きなエネルギーが少しでも生まれているなら、その勢いを活かすことで、コーチングの効果はさらに高まります。
ここで大事なのは、完璧なモチベーションや明確な目標がなくてもいい、ということ。
「なんとなく今のままじゃ嫌だ」という漠然とした感覚でも、それは立派な変化のサインです。
その想いを、コーチングで少しずつ形にしていくことができます。
コーチを選ぶときに考えるべきポイント
いざコーチングを受けようと決めたとしても、「どのコーチを選べばいいのか」迷うと思います。コーチングは、コーチとの対話を通じて自分自身と深く向き合っていくもの。だからこそ、「誰に伴走してもらうか」が結果を大きく左右します。
ここでは、コーチを選ぶ際に押さえておきたいポイントを4つに分けて紹介していきます。
Point1.コーチの得意領域を確認する
まず最初に意識したいのは、コーチがどの分野を得意としているかです。コーチにも専門領域があり、一例として以下のようなジャンルがあります。
- キャリアコーチング(転職、キャリア形成、働き方など)
- ライフコーチング(自己実現、人間関係、ライフスタイルの見直しなど)
- エグゼクティブコーチング(リーダーシップ開発、組織マネジメント、経営支援など)
「今後のキャリアについて相談したい」という人が、プライベートの人生設計を得意とするライフコーチに相談すると、やや焦点がぼやけてしまうかもしれません。
また、可能であれば、自分がこうなりたいと思える人、自分の一歩先を行くロールモデルのような人をコーチに選べるとなお良いでしょう。心理学で「目標勾配効果(ゴールグラデーション効果)」と呼ばれる現象をご存じでしょうか?ゴールが遠すぎると人は意欲を失いやすい一方で、ゴールが近づくとモチベーションが急激に高まるという現象です。
自分よりも後ろを歩いている人よりも、自分の遥か先を行く人よりも、自分の少し先を行く人をコーチにして、目標にできれば、圧倒的なモチベーションが湧きます。例えば、以下のようなものがあります。
- 副業で稼ぎたいと思っている中で、実際に副業でプチ稼ぎをしているキャリアコーチ
- 転職しようかどうか悩んでいる中で、転職経験や転職に関する知識が豊富なキャリアコーチ
Point2.コーチの資格や実績を見る
次に参考にしたいのが、コーチの資格や実績です。コーチングには、カウンセリングにあるような国家資格が今のところありません。民間資格であれば、ICF(国際コーチング連盟)の認定資格や、日本国内のコーチ養成機関の資格があります。
もちろん、資格がすべてではありませんが、一定の基準をクリアしたスキルや倫理観を持っているかを知る一つの目安になります。また、以下のような実績もチェックポイントになります。
- コーチとして活動してきた年数
- セッション実績数
- 他のクライアントからのレビューや感想
特にレビューは、コーチングの「成果」だけでなく、「どういう雰囲気のコーチングだったか」、「自分に合いそうか」というニュアンスを知る手がかりになります。
Point3.価格を確認する
コーチングを選ぶ際は、価格も重要な検討ポイントのひとつです。
コーチングの料金は、1セッション当たり1万円台から数万円単位まで幅広く、コーチの経験や対象とするクライアント層によって大きく異なります。
「高いから良い」「安いから悪い」と単純に判断するのではなく、自分の目的に対して投資する価値があるかを冷静に考えましょう。また、継続的な支払いになることも多いため、無理なく続けられる範囲の予算設定も大切です。
Point4.コーチとの相性
そして、何よりも大切なのは、コーチとの相性です。コーチングは、非常に個人的な内面に深く関わる対話です。
いくら実績や資格が立派でも、「この人とはなんとなく合わないかも」と感じるなら、無理に選ぶ必要はありません。
- 話していて安心できるか
- こちらの話を否定せずに受け止めてくれるか
- 適度な距離感を保ってくれるか
- 自分の思考が深まる感じがするか
といった感覚的なポイントがとても重要です。
つまり、コーチ選びは「頭」だけでなく「心」でも判断していいのです。
資格や実績は参考にしつつ、最終的には自分が信頼できると感じるかを最優先してください。
その際の有効な手段として、多くのコーチが体験セッションや無料相談を設けています。お互いの自己紹介をしたり、1回セッションを行ってみたりします。体験セッションや無料相談がない場合は、1ヵ月などの短期的なコーチング契約として、コーチとの相性を確認してみるのでもいいでしょう。
コーチングを受ける際の注意点
最後にコーチングを受ける際の注意点についてです。コーチングは、自分自身の可能性を引き出すための非常に有効な手段ですが、ただ受けさえすれば自然と成果が出るものではありません。よりよい効果を得るためには、受け手側にも心がけるべきポイントがあります。ここでは、コーチングを受ける際に特に意識しておきたい注意点を4つご紹介します。
受け身や他責ではなく、能動的で自責に
まず一番大切なのは、受け身や他責の姿勢ではコーチングの効果が薄れてしまうということです。コーチはあなたに正解を与える存在ではありません。コーチングでは、「答えはあなたの中にある」という前提に立ち、自分自身の思考や感情に向き合うことが求められます。もし「コーチが何とかしてくれるだろう」というスタンスで臨むと、セッションは表面的な対話で終わってしまいます。
また、コーチングに向いているテーマでも少し触れましたが、周りや環境に責任を求める他責ではなく、自分がどういった意識改革や行動変容ができるかといった自責で考える姿勢が極めて大事です。クライアントが他責思考になっていると感じた際には、自責思考になれるようコーチからも質問をしますが、より早くより大きな結果を出す為には能動的で自責の姿勢が一番です。
すぐに結果を求めすぎない
次に大事なのは、短期間で劇的な変化を期待しすぎないことです。コーチングは、単なるアドバイス提供ではなく、自分の内面と対話しながら少しずつ方向性を見つけていくプロセスです。
もちろん、1回目のセッションで大きな気づきが得られることもありますが、多くの場合、変化は徐々に積み重なっていきます。焦らず、じっくり自分自身と向き合う姿勢が、結果として大きな成長につながります。
一歩一歩着実に、コーチングで得られた気づきや学びを活かしつつ行動に繋げるというサイクルを繰り返すことで、少しずつ自分の理想としている未来に近づくことができます。
気になることは都度、遠慮なく伝える
最後に、セッション中に気になることや違和感を感じたときは、遠慮せずにコーチに伝えることがとても大切です。
- 質問の仕方がしっくりこない
- 話したいテーマがうまく伝わっていないと感じる
- セッションの進め方について要望がある
こうしたことを言葉にするのは勇気がいるかもしれませんが、コーチとの関係性をより良いものにするためには必要不可欠です。コーチングは、クライアントとコーチが対等なパートナーシップで進めていくものです。多くのコーチングセッションにおいて、最後にコーチから要望を聞かれると思いますので、その際には積極的に伝えてみてください。
小さな違和感を放置しないことが、コーチングの質をさらに高めていくコツです。
まとめ
- コーチングに向いているテーマとは「抽象度」と「コントロール性」で整理できる。抽象度が高く、自分自身でコントロールできる領域である課題に対して最も強く効果を発揮する。深刻なメンタル不調や過去のトラウマに関する場合はコーチングではなくカウンセリングなどの医療機関へ
- コーチングを受けるべきタイミングは「自力で考えても堂々巡りしているとき」や「変化を起こしたいという意欲が出てきたとき」等。なんとなく今のままじゃダメだと思ったときも立派なサイン
- コーチを選ぶ時のポイントは①コーチの得意領域を確認する、②コーチの資格や実績を見る、③価格を確認する、④コーチとの相性。体験セッションや無料相談があれば活用してみることがオススメ
- コーチングを受ける際の注意点は「受け身や他責ではなく、能動的で自責に」、「すぐに結果を求めすぎない」、「気になることは都度、遠慮なく伝える」こと
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