目標がない・持てない20代・30代へ ── 目標なんかなくても他人と比較しなくなる方法

メガバンクで営業、ネット系事業会社で金融事業開発、外資系コンサルで金融機関コンサル、三社三様で金融に関わり続けている金融マン、Keijiです。

自分には目標がない。
目標を持って仕事をしている人が輝いて見える
夢や目標ってどうやったら持てるの?

そんな風に感じたことありませんか?その気持ち、とても良く分かります。僕も社会人になってから30代前半まで明確な目標を持てず、周りの「目標を明言でき、邁進している人」がキラキラして見えました。

特に30代になると、キャリアアップを目指す人、副業や起業に挑戦する人、家族が増えて仕事とプライベートのバランスをうまくとっている人など、さまざまな方向性の「目標を持っているように見える人」が増えてきます。同時に、そんな人を見て不安になったり焦ったりする人も多くなります。

先に断言しておきますが、目標が持てないことは決して悪いことではありません。正解が多様化し、先行きが読みにくい今の時代では、むしろ「目標がない状態」がごく自然で当たり前ともいえます。

  • なぜ目標が持てない状態のか?その背景についての考察
  • そもそも人生に目標は必要なのか?
  • 目標ではなく、「自分の理想像」を持つということとは?その方法

これらを解説していくことで、「目標がない」状態を否定せずに受け入れながら、どう向き合っていくかを考えていきます。

目次

なぜ「目標がない」状態になるのか?

「何か目標を持たなきゃ」と思えば思うほど、なかなかしっくりくる目標が見つからない──
そんなもどかしさを感じる人は少なくありません。ここでは、なぜ「目標がない」状態になるのか、その背景を少し考えてみます。

正解のない社会になった

かつての日本では、「いい大学を出て、いい会社に入って、昇進して…」というある種の“成功の型”が存在していました。しかし、現代はその「型」が崩れつつあります。大企業に入っても将来が安泰とは限らないし、終身雇用は崩壊しつつあるというのが実態です。副業やフリーランスといった多様な働き方が当たり前になり、「これをやれば正解」という道などありません。

ある種、自由度が増したとも言えますが、ドイツの心理学者・哲学者であるエーリッヒ・フロムは『自由からの逃走』で「自由が増すことで、かえって人は不安に駆られ、誰かに従属したくなる」と述べています。それと似たような話として、選択肢が多すぎると、逆に選べなくなる「ジャムの法則」というものもあります。

つまりは、「どんなキャリアでも何でもいいよ」と言われた結果、自分にとって何が最適かわからなくなって不安に駆られてしまう、ということです。

学生時代からのギャップと受動的なキャリア

多くの人にとって、学生時代までは「次にやること」が比較的明確でした。進級、受験、就職といった外から与えられる目標があるからです。社会人になっても、新人や若手の頃は「一人前のビジネスパーソンになる」や「この領域でスペシャリストになる」や「〇〇で一番を取る」といった目の前の仕事での成果を出すことを目標にして働いている人も多いと思います。

ところが、5年程仕事をして、一通りの業務をこなせるようになると、いい意味でも悪い意味でも周りが見えてきて、その目標は消失します。すると途端に、「自分で目標を設定し、自分で道を切り開く」しかなくなるように感じます。

日本人はほぼ誰しも、受動的な教育を受け、受動的なキャリアを歩み始めるのに、30歳前後でいきなり「主体性を持って目標を決めて邁進してください」は、さすがに酷な気がします。

SNSや周囲との比較で、焦りが増す

SNSでは、同年代の人たちが夢を叶えたり、キャリアアップしている様子が日々流れてきます。「起業しました」「副業で稼いでいます」「結婚して、子どもに恵まれて幸せです」──そんなキラキラした投稿を見るたびに、「自分は何をやっているんだろう」と焦る気持ちが湧いてきます。

僕自身、自分のやりたいことが分からない時は、起業している友人がすごく充実した人生を歩んでいるように見え、何の考えもなしに流されて「自分も起業してみようかな」と考えたりしていました。

しかし、それらはあくまで「切り取られた一部」であり、その人の悩みや葛藤が見えているわけではありません。それでも、比較することで「自分も何か成し遂げなきゃ」「目標がない自分はダメなのかもしれない」と感じてしまうのです。

そもそも人生に目標は必要なのか?

「将来の目標は?」、「10年後どうなっていたい?」こんな問いかけを受けたとき、うまく答えられずにモヤモヤした経験はないでしょうか。世の中には“目標を持つことが正しい”という空気があり、それがない自分に対して不安や劣等感を覚える人も少なくありません。

しかし、目標を持つことが正しいことなのでしょうか?そもそも人生において、本当に目標は必要なものでしょうか?ここで少し考えてみたいと思います。

常に目標を持つことを求めることに無理がある

私たちは、気づかないうちに“常に前を向いているべき”という社会の価値観に影響を受けています。SNSでは、目標を持って努力している人や、夢に向かって突き進む人の姿が頻繁に発信され、比べてしまうこともあるでしょう。

一方で、そうした発信の裏にある葛藤や迷いは見えにくく、“目標を持てない自分=怠けている”と無意識にラベルを貼ってしまうのです。そもそも、人生は線ではなく曲線。進む方向も変われば、立ち止まることだってあります。常に目標を掲げ続けることがすべてではありません。

経済学者成田悠輔さんの、とある専門学校での卒業式でのスピーチの中に、「投げられた石にとっては、落ちるのが悪いことでもなければ、昇るのが善いことでもない」という発言があります。この言葉は、ローマ帝国の皇帝マルクス・アウレリウスの引用らしいのですが、とても大事な心構えだと思っています。

この発言以外も含めた成田さんの話を僕なりに解釈すると、「ほとんどの人にとって、人生は世の中を変えるようなインパクトを残せるものにはならない。そういう意味においては、所詮人間は石ころと同じで、社会的な成功が良いものだというのは固定観念に過ぎない」ということです。

「目標」という言葉自体がしっくりこない?

ここで少し、言葉の話をしたいと思います。

「目標」という言葉には、“何か立派なことを達成しないといけない”という圧力が潜んでいます。昇進、年収、起業、スキルアップ……いかにも“社会的にわかりやすい成功”を目指す印象を持ちやすく、だからこそ「目標を持つのが苦手」という人も多いのです。

本当に必要なのは目標ではなく、自分が将来こうなったらいいな、こういう人生歩んでいたらいいなという“自分なりの理想像”ではないでしょうか?

たとえば、誰かにとっての理想像が「海外を飛び回る実業家」でも、別の人にとっての理想像は「できるだけストレスフリーな職場で働いて、休日は何も考えずにゆっくりすること」かもしれません。後者を心から望むのであれば、まったりしている毎日こそが理想であり、それを継続できるように設計する人生は、他の誰がどう言おうと“最高の人生”です。

「こうなりたい」と思える状態を自分の中で持つことで、それが自分だけの“指針”になり、不必要に周りと比較したり、流されたりすることから回避できるようになります。

理想の人生を描くことで変わる「今」

理想像を描くことの価値は、未来のゴールが見えるからだけではありません。

たとえば、「こんなふうに生きたい」とイメージできるようになると、今この瞬間の選択が変わります。自分の理想に少しでも近づく行動を選ぶことで、日々の充実感や納得感が増していくからです。

哲学者キルケゴールは、「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きにしか生きられない」と語りました。また、作家アランの「幸福とは望んでいる未来を持ち、それに向かって進んでいる実感である」という言葉もあります。

つまり、目標を達成するかどうかではなく、“どんな未来を思い描きながら今を生きているか”が、大事なんじゃないでしょうか。

自分の理想像を描くには?

では、自分の理想像はどうすれば見えてくるのでしょうか。

その鍵となるのは、自分との対話です。自分がどんなときに心地よさを感じるのか、何に違和感を覚えるのか、小さな喜びや不快感に目を向けていくことがヒントになります。

「何がしたいか」は難しくても、「何が嫌か」「これは違うかも」という感覚からなら見えてくるものがある。そうした内省の積み重ねによって、自分なりの“理想のあり方”が輪郭を帯びてくるのです。

そして、その理想像は変わっても構いません。人生のフェーズや環境が変われば、目指すものも変化して当然です。大切なのは「こうありたい」と思える姿に正直になること。たとえそれがぼんやりしていても、今を丁寧に生きるきっかけになれば、それで十分なのです。

ただ、「自分との対話をしてください」とだけ言われても難しいと思うので、こちらの記事で理想の将来像の見つけ方を解説しています。理想の将来像を見つけたい方はぜひご覧ください。

自分で理想像を描くのが難しい人へ ── コーチングという選択肢

とはいえ、

自分1人ではなかなか十分に深掘りできない
やろうやろうと思いつつも、ズルズル癖が出てしまう

という方もいると思います。自分自身とキチンと向き合うなんて、普段の仕事や生活の中ではあまりすることがなく、就活の自己分析以来だという方も多いのではないでしょうか。

そんな方はぜひ、コーチングを受けることをオススメします。コーチングは「相手の中にある答えや価値観を引き出す」ことを可能にする対話の手法です。コーチはアドバイザーでもカウンセラーでもなく、クライアントの思考や感情、価値観を探るパートナー。直接的に「こうすべき」「これが正解」といった答えを提示することはしません。「あなたはどう思いますか?」「何が気になりますか?」という問いを重ねることで、自分でも気づいていなかった本音や可能性に光を当てていきます。

もう少しコーチングについて知りたいという方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。

一人では気づけない”問い”に出会えるメリット

コーチングが一人での思考整理と異なる最大の点は、「自分では絶対に投げかけない問い」に出会えることです。

たとえば、「もし今と全く違う人生を歩めるとしたら、どんなことをしてみたいですか?」「その感情はあなたのどこから湧いてきますか?」といった質問は、自分の“当たり前”を揺さぶる力を持っています。こうした問いを通じて、自分が無意識のうちに形成されていた思い込みから抜け出し、新たな視点を手に入れることができます。

これらの問いは、コーチがあなた自身の話を丁寧に聞いた上で、その人に合った角度で投げかけてくれるからこそ意味を持ちます。テンプレートではなく、“あなたのための問い”であるからこそ、深い気づきにつながるのです。


冒頭でも少し触れましたが、僕自身も30代前半までは周りと比較して生きて、勝手に焦って、勝手に不安になるような人生でした。飽きっぽい性格で、熱くなれたり没頭できるものを見つけられず、そんな自分に嫌気が差したことも一度や二度ではありません。

ですが、色々な自己啓発の本を読み漁り、「自分は将来どうなりたいのか」と徹底的に向き合った今なら、理想の将来像を鮮明に語ることができます。そして、今やっていることの多くは、自分の理想の将来像に繋がっていることだと感じることができます。

自分のありたい姿が分かって、それに向かっていると感じると、驚くほど周りが気にならなくなります。周りと比較することもなくなり、「あの人はあの人。自分は自分」と良い意味で割り切りができるようになります。

自分の理想の将来像を自力で設定してみる、誰かに相談してみる、コーチの力を借りてみる。手段はどれでも構いません。自分の中にある不安や焦りやモヤモヤから逃げずに、向き合ってみることが自分らしく生きる人生の第一歩になります。

まとめ

  • 「学生時代から受動的なキャリアを形成する世の中」でありながら、今は「正解のない社会」。主体的に目標を持てといきなり言われても難しい。さらにSNSの煽り効果により、不安や焦りは倍々増。
  • そもそも、人生において、常に目標を持ち続けることには無理がある。持ち続けることにも大きな意味や価値はない。
  • 自分がどういう状態でいれば、どうあればハッピーなのか、その理想像を考え抜くことが大事。自分でできる人はキャリアマップstep2をご参照。伴走者が欲しい人はコーチング利用がオススメ

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