メガバンクで営業、ネット系事業会社で金融事業開発、外資系コンサルで金融機関コンサル、三社三様で金融に関わり続けている金融マン、Keijiです。
他業界って給料とかどうなの?
スキルアップを目指して未経験分野にチャレンジしてみたいけど、未経験が許されるのは20代までなのかな…
といった悩みの方いると思います。
ここでは、これまで金融機関、事業会社、コンサルの3つの異なるタイプの会社に所属してきた僕の経験から、転職先を考えるに当たってのオススメ4選と、それぞれの比較をお伝えします。僕の経験上2社目までは営業(2社目はプロダクトのBizDevですが)だったので、営業寄りの目線であることはあらかじめご理解ください。
先に結論として、金融機関(ジャンルずらし)、事業会社、コンサル、金融機関(ジャンルそのまま)の4パターンについて表形式で記載しておきます。この後のセクションでそれぞれについて解説していきます。
① | ② | ③ | ④ | ||
---|---|---|---|---|---|
金融機関 (ジャンルずらし) | 事業会社 | コンサル | 金融機関 (ジャンルそのまま) | ||
タイプ | 業界 | (ジャンルずらす) | そのままずらす | (ジャンル活かす) | ずらす(ジャンルそのまま) | そのまま
業種 | そのまま | そのまま | ずらす | そのまま | |
転職のしやすさ | |||||
給与水準 (上げ幅) | ~ | ~ | |||
スキルアップ | |||||
家族の理解 (得られやすさ) |
① | ② | ③ | ④ | ||
---|---|---|---|---|---|
金融機関 (ジャンルずらし) | 事業会社 | コンサル | 金融機関 (ジャンルそのまま) | ||
タイプ | 業界 | (ジャンルずらす) | そのままずらす | (ジャンル活かす) | ずらす(ジャンルそのまま) | そのまま
職種 | そのまま | そのまま | ずらす | そのまま | |
転職のしやすさ | |||||
給与水準 (上げ幅) | ~ | ~ | |||
スキルアップ | |||||
家族の理解 (得られやすさ) |
それぞれに記載している「タイプ」とは、現職と転職先の「業界(=業種)」と「職種」の二軸を動かすか否かという観点です。この「業種」と「職種」の二軸の考え方についてよく知りたい方は、転職を通して年収を高めたmotoさんの『転職と副業のかけ算』が、実体験とともに詳しく書かれているのでオススメです。
業種と職種について、二軸で可視化したものがこちらです。

職種を変えずに業種を変える転職を行う「職種のスペシャリスト」と業種を変えずに職種を変える転職を行う「業種のスペシャリスト」の特徴については、こちらの記事で解説していますので興味があればご覧ください。
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パターン① 金融機関(ジャンルずらし)
タイプ:業界(ジャンル)ずらし・職種そのまま転職

パターン①は大分類としては同じ金融業界でありながらも、銀行から保険会社やカード会社といったように中分類が異なる会社で、営業や企画などの職種は同じ仕事をする転職を指します。中分類のみならず小分類単位で別の業種に移ることもここに該当します。中分類と小分類について、ここではまとめて「ジャンル」と呼ぶことにします。
金融業界に属している場合、銀行員であっても保険やリースに関わったり、その逆も然りで仕事上関わり合う機会も多いので、サービス性については肌感覚がある方も多いかと思います。相互に出向者を受け入れたりしている場合も多く、組織風土も似たようになる傾向があります。
他ジャンルの会社が、今の会社のグループ会社にある場合には出向や転籍という手段を取れるケースもあると思うので、一概に転職だけが選択肢ではありません。むしろ、出向であれば期限付きで体験できる良い機会だと思うので積極的に活用した方が良いと思います。
ちなみに僕の初めての転職は銀行から事業会社でしたが、事業会社の中の金融サービス部署だった為、このパターン①に当てはまるとも言えます。その部署の同僚はほとんどが銀行出身で、働き始めもすんなりと入っていけたところが結果的に良かったです。
パターン①のメリット
最大のメリット金融業界の素地を活かしつつ別ジャンルを扱うことで、自分の知識の幅を広げることができることです。また、大手から大手に移るということであれば、家族への説明もしやすいというのもメリットです。
ただ、現職と近しいジャンルに移った場合、学べる幅という観点ではあまり大きくならない可能性もあります。例えば銀行の法人営業からリース会社の法人営業のように、どちらも与信ビジネスで与信判断の仕組みもそこまで大きく変わらないようなケースなどが考えられます。
学べる幅は転職のしやすさとトレードオフの関係性にある為、強くこだわり過ぎる必要はありませんが、ジャンル同士を掛け合わせてどのような価値を生み出せるか考えてみると良いと思います。
パターン①のデメリット
あまり大きなデメリットはありませんが、小さなデメリットやリスクとしては年収の懸念があります。現職が銀行員の場合は特に、既に年収が高い可能性もあるので、その場合は大きな年収アップを見込むのは難しいでしょう。
また相対的な話になりますが、事業会社やコンサルと比べると得られる知識・経験・スキルの幅は限られる場合が多いです。大きい括りでは同じ金融サービスの提供になるので、真新しい部分が少なく、カルチャーや環境もそこまで大きく変わらない可能性が高いので、得られるものも比較的限られます。
パターン② 事業会社
タイプ:業界ずらし・職種そのまま転職

パターン②は営業や企画などの職種は変えずに、金融機関から事業会社へ業種転換するパターンのことです。営業ならば、これまで金融商品を売っていたところから人事系サービスを売る転換をするようなイメージです。
上でも触れた僕の初めての転職先は事業会社だったので、ここにも当てはまるとも言えます。
最近ではBaaS(Banking as a Service)の技術が進み、家電量販店や百貨店、鉄道事業者、航空会社などの大手非金融企業がBaaSの仕組みを使ってデジタルバンクを始めるといったように、金融業以外の会社でも金融サービスに取り組みやすくなってきております。そういった会社においては企画、推進を行う金融知識のある人が必ず必要となる為、非金融会社で金融事業を手掛けるというのも一つの有効な選択肢だと思います。
パターン②のメリット
メリットの1つは「金融機関とは違う、世の中のビジネス模様を学べる」という点です。金融機関は世の中の経済活動のインフラを担っており、その責任の重さゆえに常に金融庁に監督されています。金融機関が何か誤った取り組みをしている場合、業務改善命令といった行政処分を下す強い権限を金融庁は持っています。金融庁の立ち振る舞いは時代とともに変わりつつありますが、依然として金融機関は金融庁等の規制やルールに縛られている部分が大きく、勝手に変えてはいけない「おまじない」に至る所で遭遇します。
その点、事業会社では(業種などにもよりますが)規制やルールが多くありません。事業に該当する法律に抵触するようなことがなければ問題ないケースがほとんどです。それゆえ社内のルールについても金融機関ほど細かく定められていません。
金融機関ではルールを守っておけば良かったところ、事業会社ではルールでは決められていない部分について自分で判断して決めていく場面の連続です。僕自身も転職したての頃は「そんなことまで自分で決めちゃっていいの!?」と戸惑いましたが、慣れると自分の裁量がある方の方が圧倒的に楽しいです。また、どこまでがOKでどこからがNGかを考えて判断することを通して、世の中についての学びがかなり深まります。
ただもちろん、会社によって差は大きいですし、世の中のほとんどの会社を事業会社と一括りにしてしまうのはかなり乱暴だと認識しているので、転職先について事前に良く確認することをオススメします。
パターン②のデメリット
デメリットになり得るのは年収です。端的に言うと、金融業界は給与水準が高いため、安易に他業界に行くと年収が落ちる可能性があります。業界毎にビジネスモデルとおおよその利益水準が決まり、それに伴って給与水準も決まります。例えば、教育業界や介護業界、ウェディング業界などを転職先に選択すると、同じ職種でも給与が下がる可能性が高いです。
また、現時点の業界毎の年収だけでなく、業界の景気や会社の成長性についても注視しておくことがオススメです。当然のことながら、業界の景気が良かったり、成長していて利益が出ている会社の方が将来の年収アップ確率が高い為、転職で年収アップを目指している場合は必ずチェックしておきましょう。
パターン③ コンサルティングファーム
タイプ:業界少し残し・職種ずらし転職

コンサルティングファームへの転職は「業種」と「職種」という観点では、どちらも「変える」に該当するケースが大半だと思いますが、コンサルならではの業種を活かす方法があります。というか、コンサル未経験で転職する場合、ほとんどの方が該当します。それは、コンサルのクライアントを現職の業界に限定して対応することです。
その意味においては、業種を変えず職種だけ変える転職ともいえるので、マトリクス上の右下にも着色と( )書きをしています。
コンサル内の専門用語ですが、担当するクライアントの業界ごとに組織が区切られている仕組みを「インダストリー制」、区切られていない仕組みを「ワンプール制」と言ったりします。多くのコンサルティングファームが前者に該当しますが、㈱ベイカレントや㈱ビジョン・コンサルティングなどの後者に該当するファームもあります。コンサル未経験の場合はスキル面でのキャッチアップから始まる為、仮にワンプール制のコンサルに入ったとしても現職の業界のクライアントのプロジェクトにした方がスムーズに働き始められます。
パターン③のメリット
メリットは何といっても給与水準とスキルアップです。
金融業界も給与水準は高い方ですが、コンサル業界はそれに勝るとも劣らない業界です。20代で年収1,000万円、30代で年収2,000万円を超えることも珍しくありません。それゆえか、金銭感覚がおかしくなってしまっている人を社内で見かけることもあります。
コンサルで身につけられるスキルを大別すると「ロジカルシンキング」、「ドキュメンテーション(資料作成)」、「プレゼンテーション」の3つです。コンサルは課題を解決する(≒問いに答える)ために「どう考えればいいか」、「どう見せればいいか」、「どう伝えればいいか」を工夫するのが仕事なので、それらを突き詰めると3つのスキルが自然と身に付きます。
ただし、最近のコンサルはコンサルティング業務だけでなく、SIerとしての業務を兼任していたりするので、担当する業務やプロジェクトによって身に付くスキルが異なる可能性はあります。
パターン③のデメリット
コンサル転職のデメリットは家族の理解得られやすさと転職ハードルです。
コンサルに対して激務と短期転職のイメージを持っている人がまだまだ多いのが実態です。実際、会社や組織によってはそのイメージ通りの場合もあります。それゆえ、家庭持ちの方の場合は家族からの理解を得られないという事態が発生する可能性が高めです。
ただ、コンサルは従業員が資本で、優秀な人材を集める為に激務と短期転職のマイナスイメージを払拭しようとしているのも事実で、ここ数年でかなり改善傾向にあります。かなり厳格に労働時間管理されて残業が多くならないように調整している会社も多くなりました。一方、管理職にそのしわ寄せが来ているという事実も多くの会社で抱えていますが。
また、未経験からの転職のハードルも決して低いとは言えません。僕は35歳の時に未経験でコンサルに入りましたが、未経験で入るにはかなりギリギリの肌感覚です。もちろん、企業の採用人数や基準との兼ね合いや、需要と供給のマッチングによって決まるものなので一概に年齢で切ることはできません。
パターン④ 金融機関(ジャンルもそのまま)
タイプ:業界・職種そのまま転職

最後は業種も変えない、職種も変えないという、いわゆる同業他社で同じ仕事をする転職です。A銀行の法人営業をやっていたところから、B銀行の法人営業に転職するというようなイメージです。
僕自身はこの転職をしたことはありませんが、周りではけっこう多いのがこの同業他社で同職種の仕事をするパターンです。競合他社に行く場合は自社にとってマイナス要素が大きく、強い引き止めに会うのもこのパターンが多い印象を持っています。
転職エージェントに登録すると、かなりの確率でこの同業他社での同職種求人を紹介されます。僕自身エージェントに「銀行に転職するつもりはない」とハッキリ伝えても同業他社の同職種求人を送られてきていました(笑)
パターン④のメリット
メリットは転職しやすいことと給与水準の変動リスクが小さいことです。採用する側からすると、欲している人材がこれまで同じ業界で同じ仕事をしてきたわけなので、育成に掛ける時間を短縮でき即戦力として活躍してくれるだろうと思いやすいですよね。それゆえ転職のハードルは比較的低いです。
給与水準は多くの場合同業他社で大きく変わらないケースが多いです。また、即戦力の優秀な人材を採れるということであれば、現在の年収から少し色を付けて提示してくれる会社も多いです。
例外としては外資系金融機関に行く場合です。国内金融機関とは報酬や求められるスキルなども大きく異なり、転職ハードルも相応に上がります。そもそも企業としての役割やポジショニングも国内金融機関とは全く異なるので同業他社と言っていいか怪しいですが(笑)
パターン④のデメリット
他のパターンと異なる最大のデメリットが、同じ業界で同じ業務をするため、スキルアップに繋がらないことです。A銀行の法人営業からB銀行の法人営業に転職したとして、多少仕事の仕方やツールの使い方が変わるとは思いますが、新しく身に付く知識やスキルは残念ながら大してありません。
転職の目的がスキルアップではなく、「全国転勤ではなく地元の金融機関で働きたい」や「今の職場環境がブラックすぎるので可能な限り早く脱出する必要がある」といったものであるならば良いと思います。一方、スキルアップを目的とした転職活動をしていたはずなのに、なかなか上手くいかず、転職エージェントに案内された同業他社を受けて入ることになった、というのは残念過ぎるダメなケースです。
転職エージェントは「転職希望者の転職意欲がなくならないうちに(早く)転職させる」ことが仕事なので、この同業他社の同職種の求人案内を必ずしてきます。僕僕自身エージェントに「銀行に転職するつもりはない」とハッキリ伝えても同業他社の同職種求人を送られてきていました(笑)
転職活動が思うように進まなくとも、当初掲げた転職の目的だけは見失わないようにしましょう。
自分の将来像を描けていない方には
ここまでおすすめのパターンを4つ見ていきましたが、何よりも大事なことは自分がどうしたいか?を見定めること、そしてそれに沿ったキャリアを歩むことです。色々な選択肢を調べることは全く悪いことではありませんが、それだけで終わってしまっては、残念ながらどの選択肢を選んでも納得いくキャリアは待っていません。
自分のキャリアの軸や方向性を決められれば、納得感や目的を持って仕事ができるようになります。自分はこの仕事を通じてこうなりたいのだと。
僕自身、35歳にコンサル未経験で外資系コンサルティングファームに入社し、働き方や思考法に慣れるまではどうしようもないくらい怒られながら仕事をしていましたが、あまり後ろ向きにならずに頑張れたのは、自分の理想の将来像に近づけていると思えたからでした。
ハッキリくっきりとした解像度である必要はなく、ぼんやりとした方向性でも問題ありません。自分の価値観や考えなど時間やライフイベントとともに変わります。一旦今の自分の思考回路の整理として考えてみることをオススメします。
具体的な将来像の定め方の手順は、これらの記事で解説しているので、ぜひご覧ください。


まとめ
① | ② | ③ | ④ | ||
---|---|---|---|---|---|
金融機関 (ジャンルずらし) | 事業会社 | コンサル | 金融機関 (ジャンルそのまま) | ||
タイプ | 業界 | (ジャンルずらす) | そのままずらす | (ジャンル活かす) | ずらす(ジャンルそのまま) | そのまま
業種 | そのまま | そのまま | ずらす | そのまま | |
転職のしやすさ | |||||
給与水準 (上げ幅) | ~ | ~ | |||
スキルアップ | |||||
家族の理解 (得られやすさ) |
① | ② | ③ | ④ | ||
---|---|---|---|---|---|
金融機関 (ジャンルずらし) | 事業会社 | コンサル | 金融機関 (ジャンルそのまま) | ||
タイプ | 業界 | (ジャンルずらす) | そのままずらす | (ジャンル活かす) | ずらす(ジャンルそのまま) | そのまま
職種 | そのまま | そのまま | ずらす | そのまま | |
転職のしやすさ | |||||
給与水準 (上げ幅) | ~ | ~ | |||
スキルアップ | |||||
家族の理解 (得られやすさ) |
- パターン①(ジャンルをずらした金融機関への転職)は、別ジャンルを学べるメリットや家族の理解度は得られやすい一方、給与面、スキルアップ面で得られる効能は限定的
- パターン②(事業会社への転職)は業務の幅は広がりスキルアップには繋がるメリットがある反面、業界を誤ると年収が落ちる懸念あり
- パターン③(コンサル転職)のメリットは給与とスキルアップ。デメリットは家族の理解度の得られやすさが挙げれれるが、最近は多くのコンサルで働き方が改善されてきている
- パターン④(同業他社への転職)は転職ハードルは低いが、新しく得られる知識やスキルは限られており成長には繋がりにくい
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